前払式特定取引なら財産の書類を見られる
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結婚相手紹介サービスの対象契約で、サービスを受ける前に5万円を超える金額を払う前払取引なら、事業者の業務・財産に関する書類の閲覧を求められます。 「入会金」「月会費」という名前だけで対象外とは決まりません。支払う時期とサービスが始まる時期を確かめてください。
契約の種類
- 法律が指定した紹介サービスか
- 期間・総額の条件を満たすか
支払いの時期
- サービスを受ける前か
- 先に払う金額は5万円を超えるか
書類と回答
- 閲覧する場所と日を聞く
- 見られた内容と答えられなかった点をメモする
料金の名前ではなく、サービス開始前の支払いと契約の中身で確認する
事業者へ頼むときの文面
申込書や請求書で、何のサービスのために、いつ、いくら払うかを確認します。対象だと思う場合は「特定商取引法45条の業務・財産の状況に関する書類を、どの事務所でいつ閲覧できるか教えてください」と尋ねます。自分が前払取引の相手方に当たるかもあわせて聞くと、話がかみ合いやすくなります。
まだ契約を検討しているだけで、支払いも決めていない場合は、法定の閲覧請求ができると決めつけず、公開されている会社情報や契約条件を確認します。書類を見せてもらえるとしても、払ったお金の返還が保証されるわけではありません。
事業者には書類を備え置く義務がある(45条1項・施行規則105条)
特定商取引法45条1項です。
特定商取引法45条1項を開く
役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供に係る前払取引(特定継続的役務提供に先立つてその相手方から政令で定める金額を超える金銭を受領する特定継続的役務提供に係る取引をいう。次項において同じ。)を行うときは、主務省令で定めるところにより、その業務及び財産の状況を記載した書類を、特定継続的役務提供等契約に関する業務を行う事務所に備え置かなければならない。
長いので分けます。
- 前払取引をするとき
- 業務および財産の状況を記載した書類を
- 契約に関する業務を行う事務所に備え置かなければならない
「備え置かなければならない」なので、置いていない状態は認められていません。
「前払取引」の線は5万円(施行令27条)
括弧の中に「政令で定める金額を超える金銭」とあります。その金額は政令にあります。
法第四十五条第一項の政令で定める金額は、五万円とする。
5万円を超える金銭を先に受け取る取引が対象です。結婚相談所の入会金や登録料は、この線を超えることが多くあります。
そもそもこの規定は、長く続くサービスの契約である特定継続的役務提供についてのものなので、契約がそこに当たることが前提になります。当たるかどうかの判定は特定継続的役務提供にあたるかにまとめました。
中身は3つと決まっている
「業務及び財産の状況を記載した書類」が何かは、施行規則105条1項にあります。
法第四十五条第一項に規定する業務及び財産の状況を記載した書類は、貸借対照表、損益計算書及び事業報告書(会社以外の者にあつては、これらに準ずる書類)とする。
貸借対照表、損益計算書、事業報告書の3つです。事業者が任意にまとめた資料ではなく、決算の書類そのものが対象になります。
作る時期と置く時期も決まっています。
当該書類は、事業年度ごとに当該事業年度経過後三月以内に作成し、特定継続的役務提供等契約に関する業務を行う事務所に遅滞なく備え置かなければならない。
事業年度が終わってから3か月以内に作り、遅滞なく事務所に置く。さらに同条3項で、備え置いた日から3年を経過する日まで保管することとされています。
備置の期間は書類ごとに起点があります。古い書類が必ず3期分そろうと決めつけず、閲覧できる事業年度を確かめましょう。
契約する側は閲覧を求められる(45条2項)
前払いをする人は、その書類を見せるよう事業者に求められます。費用を払えば、写しをもらうこともできます。
根拠は45条2項です。
特定継続的役務提供に係る前払取引の相手方は、前項に規定する書類の閲覧を求め、又は同項の役務提供事業者若しくは販売業者の定める費用を支払つてその謄本若しくは抄本の交付を求めることができる。
できることは2つです。
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見るだけなら、条文の上では費用の話が出てきません。写しをもらう場合は、事業者が定めた費用を払うことになります。
何のために見るのか
見て分かるのは、その事業者の業務と財産の状況です。入会金を先に払う相手として続きそうかを、自分で判断する材料になります。
前払いした金額は、事業者が営業をやめたときに戻るとは限りません。だから払う前に見ることに意味があります。
料金の内訳そのものを比べる話は結婚相談所の比べ方に分けて書きました。入会前に確かめる項目は入会前に確かめることにまとめています。
いつ求めるか
条文は前払取引の相手方に閲覧請求を認めています。自分がその相手方に当たるかは、申込みと支払いの状況から確かめます。
ただし実際に効くのは払う前です。払ってしまうと、書類を見て不安になっても、戻すには解約の手続きに入ることになります。
契約前に交付される概要書面(契約する前に渡される説明書)を受け取る場面が、ちょうど検討している段階にあたります。そのときに一緒に頼むと自然です。
なお「前払取引の相手方」と書かれているので、求められるのは実際に前払いをする、またはした人です。まだ何も申し込んでいない段階では、この条文を根拠にはできません。資料請求の段階なら、公開されている会社情報を見ることになります。
求めたときの反応も材料になる
閲覧の日時や場所を尋ねたとき、相手が何と答えたかもメモに残します。利用する人の多さを推測して判断材料にはしません。
対象となる前払取引の相手方なら、45条2項の閲覧請求を使えます。すぐ出てこない、そんな制度は無いと言われる、といった対応であれば、契約する前に一度立ち止まる理由になります。
なお、契約前に交付される概要書面には別の項目が並んでいます。そちらは概要書面に何が書かれるかにあります。書類の閲覧はそれとは別の制度です。
置いていない場合は行政処分の対象になる
備置義務に違反した場合の定めもあります。特定商取引法47条1項です。
特定商取引法47条1項を開く
主務大臣は、役務提供事業者又は販売業者が第四十二条第一項から第三項まで、第四十三条、第四十四条若しくは第四十五条の規定に違反し若しくは前条第一項各号に掲げる行為をした場合において特定継続的役務提供に係る取引の公正及び特定継続的役務提供受領者等の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は役務提供事業者若しくは販売業者が同項の規定による指示に従わないときは、その役務提供事業者又は販売業者に対し、二年以内の期間を限り、特定継続的役務提供に関する業務の全部又は一部を停止すべきことを命ずることができる。
並んでいる条番号のなかに45条が入っています。書面の交付(42条)や誇大広告(43条)、禁止行為(44条)と同じ列です。
程度が軽い場合は46条の指示、重い場合はこの47条で、2年以内の期間を限って業務の停止を命じられることがあります。
つまり、書類を置くことは事業者にとって任意の努力ではありません。求めたときに出てこないのは、それ自体が制度から外れている状態です。
見たあとに決めること
書類を見ても、契約するかどうかは自分で決めることになります。決めたあとにも、やめる道は残っています。
契約したあとに渡される契約書面を受け取った日から8日はクーリング・オフができ、それを過ぎても期間の途中でやめる中途解約ができて、事業者が請求できる額には上限があります。仕組みは中途解約には上限があるにまとめました。
つまり、前払いの前に見る、契約後にもやめられる、という二段構えになっています。どちらも条文で決まっていることなので、契約書の文言より優先します。
見たあとに確認すること
書類から分かるのは、一定の時点での会社の業務・財産の状況です。将来も必ず営業を続けられるか、前払金が全額戻るかを示す保証書ではありません。前払金が何の対価か、いつ役務が始まるか、解約時にどう精算するかも契約書面で確かめます。
見せてもらえない場合は、申込みの日時と回答を残し、消費生活センターへ相談してください。いま払うかどうかは、閲覧できた事実だけで決めず、支払総額・サービスの内容・途中でやめる条件を合わせて判断します。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
- 6件
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- 3件(法令 3)
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