経歴を偽られた場合の婚姻の取消し
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経歴や収入を偽られたことだけで、婚姻が自動的に取り消されるわけではありません。 重婚など婚姻の条件に違反する場合と、詐欺・強迫によって婚姻した場合では、根拠と手続きが異なります。後者の取消権は、詐欺の発見または強迫から脱した後3か月の経過や追認で消滅します。日付と資料を残し、早めに法律相談へ進んでください。
まず、疑っていることを分ける
民法744条の問題。婚姻時の戸籍上の状態と、誰が請求できるかを確認します。
民法747条の問題。詐欺の発見などから3か月の経過や追認で取消権が消滅します。
相談前に分けておくこと
- 実際に婚姻届が受理されたか、まだ婚姻前か。
- 既婚者であった疑いか、経歴・収入などの説明が違った疑いか。
- 何をいつ知り、その後にどんなやり取りがあったか。説明や資料を時系列で保管する。
婚姻の効力や詐欺に当たるかは、記事だけで決められません。契約した相談所への苦情と、婚姻自体の法的手続きも分けて考えます。
取り消せる原因は3つに限定されている(743条)
婚姻を取り消せるのは、744条(不適法な婚姻)・745条(不適齢者)・747条(詐欺又は強迫)の3つの場合だけです。離婚と違い、当事者の合意だけでは取り消せません。743条です。
婚姻は、次条、第七百四十五条及び第七百四十七条の規定によらなければ、取り消すことができない。
このうちどれに当たるかで、請求できる人や取消権の消滅条件が変わります。
745条が扱うのは、731条の婚姻適齢(18歳)に違反した婚姻です。不適齢者本人が適齢に達すれば請求できなくなり、達したあとも3か月しか猶予がありません。成人どうしの婚活では起こりにくい原因なので、以下では残る2つを見ていきます。
既婚を隠していた場合は744条(重婚)
相手がすでに結婚していることを隠して婚姻届を出していた疑いがあるなら、重婚を禁じる732条と取消請求を定める744条を確認します。戸籍上の状態と婚姻の有効性を調べずに、重婚と断定はできません。重婚を禁じているのは732条で、732条を含む条件違反の婚姻を744条が扱っています。
744条を開く
第七百三十一条、第七百三十二条及び第七百三十四条から第七百三十六条までの規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。
747条に書かれた「発見後3か月」という消滅条件は、744条には書かれていません。ただし、個別の請求が認められるかを期間だけで決めることはできません。請求できる人も広く、744条2項は前の配偶者を加えています。
第七百三十二条の規定に違反した婚姻については、前婚の配偶者も、その取消しを請求することができる。
自分だけでなく、相手の前の配偶者の側からもこの婚姻を崩せるということです。
経歴や年収を偽っていた場合は747条(詐欺)
年収、勤務先、離婚歴、借金の有無などの説明が違った場合、744条の条件違反とは別に、747条の詐欺に当たるかが問題になります。説明が違っただけで必ず詐欺になるわけではなく、婚姻に至った経緯を含めた個別の判断が必要です。
詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
747条2項の期限は短く、こう決まっています。
前項の規定による取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後三箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。
詐欺を発見した日や強迫を免れた日を控えてください。追認に当たるかどうかも個別の事情で判断されます。同居や財産の管理など、一つの行動だけから「追認した」と決めつけず、経緯を相談時に伝えます。
迷ったら、期限が過ぎる前に弁護士へ相談してください。婚姻の取消しは家庭裁判所への申立てが要る手続きで、3か月は暦のうえではすぐに過ぎます。
取り消しても、結婚していた事実は消えない
取消しは離婚とよく似ていますが、最初から無かったことにはなりません。748条1項です。
婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる。
契約の取消しとは違い、取消しの前に生まれた子は嫡出子のままで、取消しの前に成立していた事実は覆りません。749条は離婚の規定(財産分与や子の監護についての766条など)を取消しにも準用しているので、取消しのあとの生活は離婚のときと同じ手順で整理していくことになります。
財産の扱いは、知っていたかどうかで変わる
偽っていた側は結婚で得た利益を全部返し、騙された側は残っている分を返せば足ります。748条3項です。
婚姻の時においてその取消しの原因があることを知っていた当事者は、婚姻によって得た利益の全部を返還しなければならない。この場合において、相手方が善意であったときは、これに対して損害を賠償する責任を負う。
偽っていた側は、知らなかった相手に損害賠償の責任も負います。騙されていた側が結婚によって得ていた利益は、現に残っている限度で返せば足ります(748条2項)。
独身証明書で確かめられる範囲
このサイトで案内しているシーネット結婚相談所は、入会に必要な書類として独身証明書を挙げています。
独身証明書とは「氏名」「生年月日」「本籍地」が記載され、民法第732条(重婚の禁止)規定に抵触しないことを証明します。
独身証明書は発行時点の独身であることを示す資料です。入会時の確認に役立ちますが、その後の婚姻状況や本人の説明すべてを保証するものではありません。一方で、年収や離婚歴、借金といった事実は、独身証明書では証明されません。ここは相手本人の申告と、自分で確かめる範囲に残ります。相談所によっては収入証明や在籍証明の提出を求めるところもありますが、それも書類の種類しだいで、証明できる範囲は限られます。
独身証明書そのものの取り方は独身証明書の取得方法は本籍地に請求するにまとめました。
取消しは受理されたあとの話です。相手が無断で婚姻届を出すこと自体を防ぎたい場合は婚姻届の不受理申出で無断の提出を防ぐにまとめました。
契約の段階で確かめられること
これから結婚相談所を選ぶ段階なら、独身証明書の確認範囲や提出書類を聞けます。ただし、書類の提出が相手の説明すべてを保証するわけではありません。
契約の段階で確かめられることと、結婚したあとにしか分からないことは別です。相談所との契約そのものを期間の途中でやめる中途解約やクーリングオフは結婚相談所は中途解約できるにまとめました。
この記事で確かめたこと
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