婚活の見取り図

インターネット異性紹介事業の届出と相談所の違い

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2026/9/1公開

マッチングアプリか結婚相談所かという名前だけでは、適用される法律は決まりません。会員同士の連絡の仕組みと、紹介サービスの契約期間・金額を別々に確かめます。両方の制度が関わる場合もあります。

同じ「出会いを探す」サービスでも、ネットで相互に連絡できる事業には公安委員会への届出が、一定の結婚相手紹介契約には特定商取引法の書面・解約ルールが関わります。

「アプリか相談所か」より、仕組みと契約を見る

利用の仕組み会員同士がネットで相互に連絡する?

反復継続して提供されるなどの要件を満たすと、公安委員会への届出が関わります。

契約の内容紹介サービスの期間と総額は?

2か月超・5万円超などの条件を満たすと、特定商取引法の契約ルールが関わります。

一つのサービスに両方の制度が関わる場合もあります。届出はサービスの質や成婚を保証しません。

利用前に、先に三つ確かめる

  1. 顔見知りでない会員同士が、ネット上で情報を見て相互に連絡できる仕組みか。
  2. 結婚相手紹介サービスの契約期間と、支払うことを約束した総額はいくらか。
  3. 契約したあとに渡される契約書面と運営者名、年齢確認の案内はどこで示されるか。

1と2は同時に当てはまることがあります。届出の番号や広告上の説明は手掛かりですが、それだけで事業の質や成婚を保証するものではありません。

届出が関わる仕組みには四つの要件がある

マッチングアプリの多くは「インターネット異性紹介事業」にあたります。法律の定義と警視庁の案内では、次の四つをまとめて確かめます。

  1. 面識のない異性との交際を希望する人の求めに応じること
  2. その情報を、インターネットで公衆が閲覧できる状態に置いて伝えること
  3. 情報を受け取った側と、相互に連絡できるようにすること
  4. そのサービスを反復継続して提供すること

四つとも満たす事業が、この制度の対象です。とくに3つ目が分かれ目になります。当事者どうしが直接やりとりできる形かどうか、というところです。

結婚相談所でも、会員が検索し、相互に連絡できる仕組みを反復継続して提供していれば、要件に当たる可能性があります。業種の名前ではなく、実際の仕組みで確認します。

結婚相手紹介の契約では別の条件も確かめる

結婚相談所の契約には、特定商取引法も関わります。期間2か月超・金額5万円超の結婚相手紹介サービスは特定継続的役務提供(特定商取引法が名指しした、長く続くサービスの契約)にあたります。結婚相談所は中途解約できるにまとめたとおり、書面の交付と、期間の途中でやめる中途解約が定められています。

アプリの月額契約がこの期間・金額条件を満たすとは限りません。反対に、相談所という名前でもネット上の相互連絡など四要件を満たす事業なら届出が関わりえます。

代わりに相談所が求めるのが独身証明書で、こちらは法律の義務ではなく、事業者が自分で置いている条件です。

両方にかかることがある

この2つは排他ではありません。オンラインで会員が検索して直接申し込める相談所は、四要件を満たして届出の対象になりつつ、契約の中身は特定継続的役務提供にあたる、という形になりえます。

だから「どちらの業種か」で確かめる先を決めないでください。見るのは、その事業者が何をしているかです。

「面識のない」に解釈が示されている

四つの要件のうち、どこで分かれるかは条文だけでは決まりません。警察庁が解釈基準を公表していて、そこに書かれています。

まず「異性交際」のほうです。

「異性交際」とは、面識のない異性との、男女の性に着目した交際、すなわち相手方が男であること又は女であることへの関心が重要な要素となっている感情に基づく交際を意味し、性交等を目的とする交際に限られない。

続けて、外れる場合も示されています。

よって、男女の性以外の要素に着目した交際であれば、「異性交際」に当たらない。

そして「面識のない」の意味です。

「面識のない」とは、インターネット異性紹介事業をきっかけとして知り合うまで顔見知りでなかった、見ず知らずの関係であることをいう。

同じ箇所に、顔見知りである人だけを対象にしているサイトはこの事業に当たらない、と続いています。メールの交換をしているだけでは面識があるとはいえない、とも書かれています。

結婚相談所という語は、この解釈基準に1度も出てきません。業種で線を引いていないので、当てはまるかどうかは仕組みを見て判断することになります。

届出は公安委員会に出す

この事業を行うには届出が要ります。法律7条1項です。

7条1項を開く

インターネット異性紹介事業を行おうとする者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、次に掲げる事項を事業の本拠となる事務所(事務所のない者にあっては、住居。第三号を除き、以下「事務所」という。)の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)に届け出なければならない。

出す先は都道府県公安委員会です。消費者庁でも経済産業省でもありません。

同項の各号には、届け出る内容が並んでいます。氏名または名称と住所、広告に使う呼称、事務所の所在地、連絡先、法人なら役員の氏名と住所、そして年齢確認の実施方法です。

広告で使う呼称を届け出させているのが特徴的です。サービス名を変えて別の看板を出すことができない作りになっています。

年齢確認が義務になっている

この事業に固有の義務が11条にあります。児童でないことの確認です。情報を公衆が閲覧できる状態に置くとき、相互に連絡できるようにするときなど、場面ごとに確認が求められています。

マッチングアプリで本人確認書類を求められるのは、この条文が理由です。サービス側の親切ではなく、法律上の義務になっています。

広告のほうにも決まりがあります。10条1項です。

10条1項を開く

インターネット異性紹介事業者は、その行うインターネット異性紹介事業について広告又は宣伝をするときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、児童が当該インターネット異性紹介事業を利用してはならない旨を明らかにしなければならない。

広告に「18歳未満は利用できない」という表示が入っているのは、ここから来ています。

名義を貸すことが禁じられている

届出をした人が、その名義で他人に事業をさせることは禁じられています(9条)。届出をした主体と、実際に運営している主体が一致していることを求める定めです。

無届で行うと拘禁刑がある

届出をしないでこの事業を行うと、6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(32条1号)。名義貸し(9条違反)も同じ32条の2号に並んでいます。虚偽の届出は34条で30万円以下の罰金です。

さらに14条1項では、公安委員会が6か月を超えない範囲で事業の停止を命じられます。2項では、8条の欠格事由に当たることが分かったときに廃止を命じられます。

誰でも届出できるわけではない

届出は許可ではありませんが、誰でも出せるものでもありません。8条が、そもそも事業を行えない人を列挙しています。

次の各号のいずれかに該当する者は、インターネット異性紹介事業を行ってはならない。

1号に挙がっているのがこれです。

破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

続く2号は、拘禁刑以上の刑を受けた人と、この法律や児童買春・児童ポルノ関係の罪で罰金刑を受けて5年を経過しない人です。3号は最近5年間に停止や廃止の命令に違反した人、4号は暴力団員が並びます。

届出があることだけで、審査に通った優良サービスと判断することはできません。欠格事由を確認する制度と、利用者に合うかどうかの判断は分けます。

届出番号の表示だけで判断しない

サービスが届出番号を示している場合は、運営者名とサービス名が一致しているか確認します。ただし、番号の表示だけで届出の有効性や利用者への対応まで保証されるわけではありません。疑問が残るときは、事業者へ届出先と運営主体を聞き、必要なら管轄の警察窓口に確認方法を相談してください。「全国の公開一覧で必ず照合できる」とも「誰にも確認できない」とも決めつけません。

年齢確認の案内と児童の利用禁止表示は、該当する事業に課された義務を考える手掛かりです。見当たらない場合は、サービスの仕組みを含めて確認し、表示だけで違法と断定しないでください。

契約前の次の行動

  • アプリ型の仕組みなら、運営者と連絡方法、年齢確認の説明を読む。
  • 結婚相手紹介の契約なら、契約する前に渡される概要書面で期間と総額を読む。
  • 同じサービスに両方が関わりそうなら、二者択一にせず、事業者へ届出と契約書面をそれぞれ聞く。

警視庁の四要件の案内と根拠となる法律を、実際のサービスの仕組みと照らしてください。

この記事で確かめたこと

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