婚前契約と夫婦財産契約|登記は届出まで
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法定財産制と異なる夫婦財産契約を結ぶなら、婚姻届を出す前に内容を決めます。 将来、承継人や第三者にもその契約を主張するための登記も、届出までに必要です。日々の生活費について話し合うすべての合意に、この期限を当てはめる話ではありません。
いつ確認するか婚姻の届出
届出前
法定財産制と異なる契約の内容を決める。第三者への対抗が必要なら登記まで検討する
届出後
758条1項に変更制限。生活費の個別の話合いを一律に禁止する意味ではない
まず「何を決めたいか」を分ける
預金や不動産の帰属を法定財産制と違う形にしたいのか、日々の家計負担を話し合いたいのかで、確認する規定が違います。前者について第三者にも主張したいなら、契約書を作ることと登記することは別の工程です。婚姻届の日程を決める前に、財産の一覧、名義、目的を二人で書き出し、弁護士と登記の窓口に必要な手続を相談してください。
後者の家計分担なら、届出後に一切話し合えなくなるという意味ではありません。ただし私的な合意だけで第三者への債務を消せるとは限りません。
二人で作る確認メモ
契約内容を専門家に相談するときは、先に一枚のメモを作ると話が進みます。予定する婚姻届の日付、現在の財産と名義、婚姻後の財産の扱いをどう変えたいか、相続人や取引相手にも主張したい理由を書きます。不動産があるなら登記事項や借入れも、家計負担の相談なら毎月の支出と収入の見込みも別に添えます。
「すべて共有にしたい」「借金には一切責任を負いたくない」といった大きな言葉だけでは、対象財産や第三者との関係が曖昧です。どの口座、どの不動産、どの取引について、誰との間で効果を求めるのかまで具体化してください。契約書案は二人が納得できる内容であることに加え、法定財産制との違いと登記の必要性を確認します。
届出までの時間が短い場合、文案の作成日と登記の完了日を同じものとして扱わないでください。登記が必要か、書類や申請の準備に何日かかるかを、実際の手続先へ早めに聞きます。予定どおり進まない場合の選択肢も、届出前に専門家と相談します。
急いでいるときに先に聞くこと
提出日がもう近いなら、むずかしい文案を一人で書き進める前に、何をいつまでに終える必要があるか聞きましょう。「二人の間だけで使う約束ですか。それとも二人以外にも示す必要がありますか」と伝えると、話が分かれます。名義のある土地や家があれば、その情報も手元に置きます。
書面の見た目が整っていても、必要な手続が済んだとはかぎりません。これから作る文書の効き方と、届出の予定を同じ紙に書いて相談へ持っていくと、聞きもらしを減らせます。
届出前の契約と登記の根拠
民法755条は、届出前に別段の契約をしなかったときは法定財産制によると定めます。
夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係は、次款に定めるところによる。
民法756条は、法定財産制と異なる契約を承継人・第三者に対抗するための登記時期を定めます。
夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。
公正証書にしたことと、756条の登記をしたことは同じではありません。 文書の形式だけで第三者への対抗要件を満たしたと思わないようにします。
民法758条1項には、届出後の変更制限があります。
夫婦の財産関係は、婚姻の届出後は、変更することができない。
ここでいう変更制限を、婚姻後の家計管理や個別の合意がすべて無効という説明に広げないでください。財産契約の内容・変更したい理由によって扱いが変わるため、個別の効力は専門家に確認します。相談所の成婚退会も、婚姻届の提出日とは別です。成婚退会と婚約の違いを確認してください。
契約を作らない場合の基本形
法定財産制では、婚姻前から持っていた財産と、婚姻中に自分の名で得た財産はその人の特有財産です。民法762条1項は次のように定めます。
夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
帰属が明らかでない財産については、同2項が共有と推定します。
夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
どちらの口座から支払ったか、何を婚姻前から持っていたかを記録しておくと、後で帰属を確認しやすくなります。特定の財産がどちらのものか、記事だけで判定はできません。
家計の分担と外部への責任は別に見る
民法760条は、婚姻から生じる費用について次のように定めます。
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
民法761条は、日常家事で第三者と取引した場合の責任を定めます。
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
二人の間で負担割合を決めても、相手方への責任をその合意だけで消せるとは限りません。条文ただし書きのように、第三者への予告が問題になる場面があります。家計簿上の分担と対外的な責任を混同しないでください。
書いたつもりで終わらせない
二人で話していると、「結婚前の貯金はそれぞれのもの」「毎月の家賃は半分ずつ」のような言い方になりがちです。前者が何月何日のどの口座を指すのか、後者は収入が変わっても同じにするのかを書き添えると、あとで読み返せます。互いの記憶だけに任せず、話した日と決まった点、まだ決めていない点を残してください。
ただし、こうしたメモを作っただけで、登記が必要な契約を終えたことにはなりません。だれに向けてその決まりを使いたいのかも大事です。二人の間で支出を分けたいのか、銀行や取引先など二人以外にも主張したいのかを分けておきます。お金や土地の名義を変えることまで考えるなら、書き方を自己判断しないで相談しましょう。
ふたりで答えが違うとき
一方は「家は半分ずつのもの」と思い、もう一方は「自分の名で買った家」と思っているかもしれません。言葉だけで安心せず、名義やお金の出どころをいっしょに見ます。意見が合わないまま急いでサインをするより、何について意見が違うのかを紙に書き、それを持って相談するほうがよいでしょう。
また、相手に見せたくないことがあれば、そのままにして約束を結ぶのは避けたいところです。わからないところを「わからない」と書くことも、あとで調べるための一歩です。むりにその日に結論を出さず、まず聞く先を決めてください。
届出後も確認したい日常の取り決め
夫婦になってからも、生活費をどの口座から出すか、共通の買い物をどう記録するかは話し合えます。それをそのまま法定財産制と異なる夫婦財産契約の変更と呼んだり、第三者への債務の免責と呼んだりしないことが大切です。家計の分担を決めたメモと、登記が問題になる夫婦財産契約をファイルでも分けておくと、後で確認しやすくなります。
婚姻前からの財産を記録するなら、残高の数字だけではなく、いつの残高か、どの口座かも控えます。婚姻中に購入したものも、購入時期、支払った口座、名義を分けて記録してください。これで財産の帰属が自動的に確定するわけではありませんが、事実を相談先に伝える材料になります。
届出後に財産管理で問題が起きたら
民法758条2項・3項には、一方による財産管理が失当で財産を危うくした場合などに、家庭裁判所へ管理者の変更や共有財産の分割を求める規定があります。通常の夫婦財産契約を届出後に自由に書き換える制度とは別です。結果を承継人や第三者にも主張するときの登記は759条に定められています。
前条の規定又は第七百五十五条の契約の結果により、財産の管理者を変更し、又は共有財産の分割をしたときは、その登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。
離婚時の財産分与も民法768条による別の判断です。婚前の文書だけで結果が決まるとは限りません。届出の予定日、財産の名義、何を第三者にも主張したいかを一枚にまとめ、契約内容は弁護士、登記の手続は法務局へ相談してください。
この記事で確かめたこと
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